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■青空文庫から『坊っちゃん』を一部抜粋


 赤シャツに勧められて釣(つり)に行った帰りから、山嵐(やまあらし)を疑ぐり出した。無い事を種に下宿を出ろと云われた時は、いよいよ不埒(ふらち)な奴(やつ)だと思った。ところが会議の席では案に相違(そうい)して滔々(とうとう)と生徒厳罰論(げんばつろん)を述べたから、おや変だなと首を捩(ひね)った。萩野(はぎの)の婆(ばあ)さんから、山嵐が、うらなり君のために赤シャツと談判をしたと聞いた時は、それは感心だと手を拍(う)った。この様子ではわる者は山嵐じゃあるまい、赤シャツの方が曲ってるんで、好加減(いいかげん)な邪推(じゃすい)を実(まこと)しやかに、しかも遠廻(とおまわ)しに、おれの頭の中へ浸(し)み込(こ)ましたのではあるまいかと迷ってる矢先へ、野芹川(のぜりがわ)の土手で、マドンナを連れて散歩なんかしている姿を見たから、それ以来赤シャツは曲者(くせもの)だと極(き)めてしまった。曲者だか何だかよくは分(わか)らないが、ともかくも善(い)い男じゃない。表と裏とは違(ちが)った男だ。人間は竹のように真直(まっすぐ)でなくっちゃ頼(たの)もしくない。真直なものは喧嘩(けんか)をしても心持ちがいい。赤シャツのようなやさしいのと、親切なのと、高尚(こうしょう)なのと、琥珀(こはく)のパイプとを自慢(じまん)そうに見せびらかすのは油断が出来ない、めったに喧嘩も出来ないと思った。喧嘩をしても、回向院(えこういん)の相撲(すもう)のような心持ちのいい喧嘩は出来ないと思った。そうなると一銭五厘の出入(でいり)で控所(ひかえじょ)全体を驚(おど)ろかした議論の相手の山嵐の方がはるかに人間らしい。会議の時に金壺眼(かなつぼまなこ)をぐりつかせて、おれを睨(にら)めた時は憎(にく)い奴だと思ったが、あとで考えると、それも赤シャツのねちねちした猫撫声(ねこなでごえ)よりはましだ。実はあの会議が済んだあとで、よっぽど仲直りをしようかと思って、一こと二こと話しかけてみたが、野郎(やろう)返事もしないで、まだ眼(め)を剥(むく)ってみせたから、こっちも腹が立ってそのままにしておいた。



■『坊っちゃん』などの著作権が切れている作品は青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)でも読むことができます。


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ygasjo | 小説 | 16:23 | - | - | - |

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